CHEMISTRY OF BOOK

化学を学ぶ人のための専門書まとめ

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有機化学の教科書

有機化学(Organic Chemistry)
有機化学は物理化学、無機化学と並ぶ化学の3大分野のひとつ。しかも定性的な議論が可能なこともあって、数学が大の苦手……という人でもとっつきやすい科目であろう。有機化学には優れた教科書が非常に多く存在していて、バイブルといえる本も昔からたくさん存在している。ここでは総合的な「有機化学」の本のなかから個人的に良いと思われるものを挙げた。基本的に外国の著者のものばかりだが、邦訳されているものがほとんど。しかし、2冊目以降は原著を読んでレベルアップを図るのも手だ。



マクマリー
有機化学 (第8版)

有機化学の基本をとことん学べる優れた教科書

マクマリー有機化学〈上〉マクマリー 有機化学〈中〉マクマリー有機化学〈下〉
マクマリー有機化学問題の解き方

■出版社/原著出版社
東京化学同人/Brooks/Cole

■発行年
2013年

■サイズ
A5(ハードカバー:全1329頁)

■レベル
★★☆☆☆(学部1~3年)

■ひとこと
有機化学の登竜門。化学を専門とするならまずはここから……といえるほど定番中の定番で、多くの大学で指定されている教科書。今回第8版となったが、前の版と同じくカラフルで見やすく、初学者にも十分配慮されている。取り扱う内容は、網羅的で非常に優れており、通読も十分に可能。基本的な反応機構はしっかりと押さえられているほか、生化学分野(下巻)の記述もかなり詳しいのが長所である。ただし有機化学を専門とするなら、これだけでは足りないので、読み終えたらウォーレンにステップアップしていこう。原著はBrooks/Coleから「Organic Chemistry」が出ている。改訂のペースが速いのは、世界中で支持されている証拠だろう。



モリソン・ボイド
有機化学 (第6版)

永きにわたって読み継がれてきた古典的名著

有機化学〈上〉モリソン・ボイド 有機化学〈中〉有機化学〈下〉

■出版社/原著出版社
東京化学同人/Prentice-Hall

■発行年
1994年

■サイズ
A5(ハードカバー:全1194頁)

■レベル
★★★☆☆(学部2~4年)

■ひとこと
1959年に初版が発行されて以来、50年以上ものあいだ親しまれてきた有機化学における名著中の名著。アメリカの古い本なので言い回しは少しくどいが、記述が細かく今でも読む価値は十分にある。レベル的にはマクマリーよりもやや上で、中級教科書では珍しく軌道対称性やウッドワード・ホフマン則にも触れられているのが特色。その一方、反応機構の記述が不十分なのと練習問題の解答ないのが難点。分厚いので副読本として使いたいところだが、それではこの本の真価は発揮されない。全ページ余さず、しっかり読んでいきたい本である。原著「Organic Chemistry」はPrentice-Hallから出ていたが、すでに新書で手に入りにくくなっている。この先改訂は見込めないが、邦訳版が今でも新書で手に入る日本は恵まれた国かもしれない。



ウォーレン
有機化学 (第1版)

有機専門なら必携の上級テキスト

ウォーレン有機化学〈上〉ウォーレン有機化学〈下〉
ウォーレン有機化学〈上〉

■出版社/原著出版社
東京化学同人/Oxford University Press

■発行年
2003年(第2版は2015年~)

■サイズ
B5変(ソフトカバー:1580頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
基礎から発展的な内容まで取り扱う有機化学の上級テキスト。その特徴は、ほかの本ではあまり触れられていない有機金属、ヘテロ環、有機典型元素化学も取り扱っていること。これ1冊で現代の有機化学を広く俯瞰できる。また反応機構が詳細で、それまで暗記に頼っていた部分もしっかりと理解できる。難易度は高めなので、1冊目としては不向き。マクマリーなどの初級~中級テキストを読んだ後ステップアップしていく本である。下記には原著も紹介しているので、英語力を鍛えるならそちらを読むのもおすすめ。アマゾンでの評価も高く、世界中で支持されている現代有機化学のバイブルだ。なお、2015年に改訂されて第2版(上巻)が発売された。下巻は秋に発行予定。



Organic Chemistry (第2版)
意欲的な学習者にオススメしたいウォーレンの原著最新版!

Organic ChemistryOrganic Chemistry

■出版社
Oxford University Press

■発行年
2012年

■サイズ
27.6×19.8×4.8 cm(ペーパーバック:1234頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
ウォーレン有機化学待望の第2版。改訂によりページ数はやや減っている模様。学部3年~修士課程レベルの教科書の定番なので、ぜひ読んで欲しい1冊。価格が安く手に入れやすいのも◎。有機専門ならぜひ手元に置いておこう。



March's Advanced
Organic Chemistry (第7版)

有機化学者なら知らぬ者はいない有機化学の集大成

March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure

■出版社
Wiley-Blackwell

■発行年
2013年

■サイズ
26.1×18.4×7.0 cm(ハードカバー:2080頁)

■レベル
★★★★★(学部4年~研究者)

■ひとこと
有機化学の教科書の頂点に位置づけられる究極的な1冊がこの「マーチ有機化学」。2000ページに及ぶ集大成なので気軽に読破はできないが、手元にあれば利用価値は高い。内容は極めて高度で、初学者には不向き。ウォーレンを読み終えた人、院生および研究者が対象となる。原著は第7版が出たばかりだが、邦訳は丸善から出ている5版(マーチ 有機化学〈上〉―反応・機構・構造)がもっとも新しい。このレベルになってくると、最新のトピックスが充実した原著を手に入れるのがよい。



有機化合物のスペクトルによる同定法
MS,IR,NMRの併用 (第7版)

和書で買えるスペクトル解析ならこれ1冊で決まり!

有機化合物のスペクトルによる同定法―MS,IR,NMRの併用

■出版社
東京化学同人

■発行年
2006年

■サイズ
B5(ソフトカバー:483頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
有機構造解析の有名な教科書がこちら。かなり詳細な内容で、まったくのスペクトル初学者には荷が重い。通常の有機化学の教科書で簡単に原理を学んだあとに取り組みたい本。学部生だけでなく、大学院~研究者でも辞書的に使えるほどさまざまなスペクトルが掲載されている。ウォーレン有機化学とともに、有機専門ならばぜひ手元に置いておきたい。ちなみに原著は第8版が出ているが、邦訳が出るのはまだまだ先の模様。



評価の高いその他の名著
ボルハルト・ショアー現代有機化学〈上〉
ボルハルト・ショアー現代有機化学〈下〉
ボルハルト・ショアー現代有機化学問題の解き方
数多くある有機化学の教科書のなかでも、合成を重視した標準的テキスト。レイアウトもすっきりしていて見やすく、反応機構もそこそこ詳しい記述がある。演習問題も良質で、非常に教育的な本。ただ(重量的に)重いのが難点。このレベルの教科書は、持ち運びのしやすさも重要だと思う。

Organic Chemistry
最近アメリカで大変評判の高いのが「クライン有機化学」。購入してみたが、非常にカラフルで取っ付きやすい。昔ながらの教科書に慣れてる人は、あまりにカラフルなのは受け入れがたいが、最近の学生にはちょうどよいかもしれない。マクマリーなどと同程度のレベル。やさしい英語で書かれているので、同時に英語を勉強したい人にもよいだろう。

Advanced Organic Chemistry: Part A: Structure and Mechanisms
Advanced Organic Chemistry: Part B: Reaction and Synthesis
マーチ有機化学と並び称されるハイレベルな有機化学のテキストが「ケアリー」である。こちらはパートA、パートBと分冊となる。記述が充実している。

ほかには…
ジョーンズ有機化学〈上〉
ジョーンズ有機化学〈下〉
ジョーンズ有機化学 問題の解き方
ブラウン有機化学〈上〉
ブラウン有機化学〈下〉
ソレル有機化学〈上〉
ソレル有機化学〈下〉
ブルース有機化学〈上〉
ブルース有機化学〈下〉
ブルース有機化学 問題の解き方
ソロモンの新有機化学〈上〉
ソロモンの新有機化学〈下〉
ソロモン新有機化学・スタディガイド
パイン有機化学 1
パイン有機化学 2
フォックス・ホワイトセル有機化学〈1〉
フォックス・ホワイトセル有機化学〈2〉
フォックス・ホワイトセル有機化学〈3〉
このように、物理化学や無機化学と異なり、邦訳されてるものだけでも非常に多くの有機化学の教科書が存在する。なかでもジョーンズは反応機構が詳細と評判。パインは昔から使われている本だが、今だとやや古く感じる。いずれにしても、実際に自分で確認して読みやすいものを選ぶのがよい。


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有機金属化学の教科書

有機金属化学(Organometallic Chemistry)
有機金属化学を詳細に扱った本は、じつはそれほど多くない。比較的新しい学問領域で今もなお研究が盛んに行われているので、ボリュームのある教科書は限られているのかもしれない。有機金属は有機合成の触媒として使われることが多く、これらの本のなかで記述されることも多い。ここでは、世界で読まれている有機金属化学の良書をご紹介していこう。



The Organometallic Chemistry
of the Transition Metals (第6版)

有機金属について幅広く記述された決定版

The Organometallic Chemistry of the Transition Metals

■出版社
Wiley

■発行年
2014年

■サイズ
24.1×16.3×3.3 cm(ハードカバー:520頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
ここ最近の有機金属化学の教科書のなかでもっとも優れていると感じたのがクラブトリー有機金属化学。基礎的な事柄から有機金属化合物の応用まで、幅広くかつ詳細な記述がある。ぜひ邦訳をぜひ望みたい1冊だ。なお、最近第6版に改訂され、超分子、N原子へテロ環化合物、有機合成への応用などの記述を拡大。内容をさらに充実化している。典型元素の有機金属化学も今後発売される可能性がある。



評価の高いその他の名著
ヘゲダス遷移金属による有機合成
定評あるヘゲダスの改訂版がこちら。原著は2009年に出版されたTransition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules。触媒サイクルなどが詳細に記述される。有機合成を行う院生には有用な本。

ハートウィグ 有機遷移金属化学(上)
ハートウィグ 有機遷移金属化学(下)
有機合成を目標に据えた遷移金属の基礎知識と応用がくまなくまとめられている本。上で紹介したCrabtreeのテキストと同じく、有機金属化学の座右の書となるもの。原著は「Organotransition Metal Chemistry」で、多くの学生や研究者に支持された1冊だが、今回いよいよ邦訳される。日本語で読めると言うのは時間の限られた大学院生には非常にありがたく、Crabtreeよりもアドバンテージを感じさせる。下巻は2014年秋発売の予定。

有機金属化学―基礎と応用 (化学選書)
有機金属の権威である山本先生が著した本。日本の著者による有機金属化学の本格的テキストと言えばこれである。多くのテキストは遷移金属とそれを利用した合成が主体だが、こちらは典型元素の有機金属化合物にも触れられている。ただし、新書では買えるもののかなり古い本なので、最新のトピックスには触れられていない。

有機金属化学 (錯体化学会選書)
錯体化学選書のなかの1巻としてまとめられた本。見やすいレイアウトでとっつきやすく、比較的手堅く学べる。最近の本のなかでは優れている。


物理有機化学の教科書

物理有機化学(Physicalorganic Chemistry)
有機化学は非常に奥行きのある学問。物理化学との境界分野となるような分子構造、有機反応論、フロンティア軌道論など、一般的な有機化学の教科書には詳しく書かれていない物理有機化学の諸分野について扱った本が数多く存在するので、いくつか取り上げてみた。



Organic Mechanisms (第1版)
現代的な「有機反応論」の専門テキスト

Organic Mechanisms: Reactions, Methodology, and Biological Applications

■出版社
Wiley

■発行年
2013年

■サイズ
24.1×16.5×3.1 cm(ハードカバー:432頁)

■レベル
★★★☆☆(学部2年~学部4年)

■ひとこと
有機反応論は、奥山先生の本をはじめ、日本でも数多く存在する。この本もコンセプトは基本的に同じで、有機化学の基礎となる反応機構を、豊富な例を取り上げて詳細に解説。巻き矢印をしっかり使っているので、初学者でも理解しやすい。総合的な有機化学の本と並行して読みたい。



Molecular Orbitals and Organic Chemical Reactions
分子軌道法を用いた有機反応論を学べる1冊

Molecular Orbitals and Organic Chemical Reactions

■出版社/原著出版社
Wiley

■発行年
378頁

■サイズ
23.6×16.4×2.6 cm(ハードカバー:378頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
分子軌道法を有機反応に応用した本。複雑な有機化学反応の理論を体系的に学べる良書。有機化学を学ぶすべての人にオススメしたい良書だ。


高分子化学の教科書

高分子化学(Polymer Chemistry)
高分子化学の教科書は、同じようなタイトルであっても内容は大きく異なることが多い。有機化学の一分野として、高分子の反応や合成をテーマにしたものもあれば、物理化学的な物性を主軸にしたものもある。さらに工学系の材料科学向けの本も数多く存在する。これらを1冊にまとめた本となると、非常に数が少ないのが現状。つまり高分子化学の教科書選びは、かなり難しい。ここでは便宜上、有機化学の一分野の「高分子化学」としたが、一部、物理化学的な本も合わせて紹介する。



Organic and Physical
Chemistry of Polymers (第1版)


物理化学と有機化学、両方からアプローチした良書
Organic and Physical Chemistry of Polymers

■出版社/原著出版社
Wiley-Interscience

■発行年
2008年

■サイズ
24.1×15.2×3.6 cm(ハードカバー:632頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
幅広い内容の高分子化学を、基本的な事柄をしっかり網羅しつつも発展的なトピックスを取り上げている優れたテキスト。非常によくまとまっているので、じっくり学ぶには最高の本。



評価の高いその他の名著
基礎高分子科学
高分子化学について基礎からしっかり学ぶなら、まずはこの本を手に取ろう。記述が不十分だったり、わかりにくい和書が多い中、反応から物性まで、高分子の基礎事項のほとんどがしっかりと書かれている。かなりオススメの1冊だ。

有機合成化学の教科書

有機合成化学(Organic Synthetic Chemistry)
有機化学の真骨頂とも言える有機合成化学。有機化学のひとつの領域である有機合成化学の意義は、その名のとおり目標物を人工的に合成すること。しかし、自分に合った有機合成のテキストを選ぶのは意外と難しい。当ブログ「有機化学の教科書」で紹介した「March's Advanced Organic Chemsitry」も、有機合成化学を学ぶのに最適な本のひとつだが、その他にも合成を主軸に置いたテキストがあるので紹介していこう。



Organic Synthesis (第1版)
有機合成についてじっくり学べる教育的な教科書シリーズ

Organic Synthesis: Strategy and ControlWorkbook for Organic Synthesis: Strategy and Control
Organic Synthesis: The Disconnection ApproachWorkbook for Organic Synthesis: The Disconnection Approach

■出版社
Wiley

■発行年
2007年~2010年

■サイズ
24.5×19.0×5.3 cm(ペーパーバック:918頁)
24.8×19.7×2.7 cm(ペーパーバック:502頁)
24.6×19.0×2.0 cm(ペーパーバック:344頁)
24.4×19.4×1.5 cm(ペーパーバック:276頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
あのウォーレンが著者の一人として執筆している有機合成化学の優れたテキスト。「Strategy and Control」と逆合成を取り扱った「The Disconnection Approach」があり、それぞれにワークブックも用意されるので合計4冊のシリーズ物になっている。ウォーレンを読んだ後、さらに合成に対するセンスを身に付けるには最高のシリーズ。持っていて損はない。なお、後者のテキスト(青色の本)は、東京化学同人から「ウォーレン有機合成」として邦訳され、手に取りやすくなった。



Classics in Total Synthesis (第1版)
有機合成化学者必携の全合成のバイブル!

Classics in Total Synthesis: Targets, Strategies, MethodsClassics in Total Synthesis II: More Targets, Strategies, MethodsClassics in Total Synthesis III: New Targets, Strategies, Methods

■出版社
Wiley-VCH

■発行年
1996年/2003年/2011年

■サイズ
24.8×18.7×3.4 cm(ペーパーバック:821頁)
25.1×18.9×2.7 cm(ペーパーバック:651頁)
24.5×18.8×3.3 cm(ペーパーバック:746頁)

■レベル
★★★★★(学部4年~研究者)

■ひとこと
ニコラウ&ソレンセンが綴った全合成のバイブル。さまざまな物質の全合成の手法がこの3冊にぎっしりと込められた不朽の大作。専門外でも、眺めているだけでその世界観に感服させられる。



評価の高いその他の名著
人名反応に学ぶ有機合成戦略
最近邦訳された人名反応の教科書。見開きでひとつの反応が載っており、反応が発見された経緯などにも触れている。カラーで見やすく、有機合成化学専門の人にはオススメの1冊だ。上で紹介したマンディの人名反応よりもボリュームは少ないかもしれないが、現代的なレイアウトでこちらのほうが読みやすいだろう。

Name Reactions: A Collection of Detailed Mechanisms and Synthetic Applications
こちらも比較的有名な人名反応の本。上の本に比べると記述はややあっさり目なので、より一層、辞書的な使い方が中心になる。ぱっと調べ物をするのに便利。電子書籍としてあると、検索がしやすくていいかもしれない。

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