CHEMISTRY OF BOOK

化学を学ぶ人のための専門書まとめ

生化学の教科書

【生化学(Biochemistry)】
生化学は化学の一大分野であると同時に生物学の一科目という、基礎科学ながらも学際性が強い学問である。ゆえに化学科の学生はもちろん、生物系や医・薬・農学系学部でも必須の科目とされている。そんな理由から一口に生化学と言っても、化学科向け、生物科向け、医・薬学科向けなど、教科書によって内容がやや異なっている。ここでは化学専門の人を読者対象とする有名な本を紹介しよう。最近の本は図を豊富に用いてカラフルなものが多いので、ずいぶん読みやすい本が増えてきた。



コーン・スタンプ
生化学 (第5版)

コンパクトにまとまった生化学の古典的教科書

生化学

■出版社/原著出版社
東京化学同人/John Wiley & Sons Inc

■発行年
1988年

■サイズ
A5(ハードカバー:637頁)

■レベル
★★★☆☆(学部2~4年)

■ひとこと
コンパクトにまとまっている古典的名著。出版年が古いのが難だが、化学コースの1科目として生化学の基礎固めをしたい人にとって、この上なく有用なテキストである。とくに代謝の記述が詳しく、よくまとまっている。原著は「Outlines of Biochemistry」だが、すでに絶版(古本として今でも安く買えるようだが…)。邦訳版はまだ新書で買えるので、読むなら必然的にこちらとなるだろう。未だに新書で買えるということは、それだけ多くの人に読み継がれ、高い評価を受けてきた確たる証拠。さらに深く生化学を学びたいなら、次に紹介する「ヴォート生化学」にステップアップしていこう。



ヴォート
生化学 (第4版)

生体反応に詳しい生化学テキストの最高峰

ヴォート生化学〈上〉ヴォート 生化学〈下〉

■出版社/原著出版社
東京化学同人/Wiley

■発行年
2012年~2013年

■サイズ
A4変(ソフトカバー:1305頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
化学寄りの生化学の教科書で、世界でもっとも有名な生化学の本のひとつ。矢印を使って反応機構を記述する箇所もあり、有機化学的な考え方で複雑な代謝機構を覚えることができる。分厚く読破するのに骨が折れるが、非常に網羅性が高く、もっとも信頼がおける生化学のバイブル。学部はもちろん、大学院~研究者まで広くターゲットにするので、専門ならぜひ手元に置いておきたい。読破するのが理想であるが、必要に応じて参照すると言う使い方でも良いだろう。もし生化学が専門でなければ、よりライトな内容のヴォート基礎生化学という選択肢もある。



Biochemistry (第4版)
生化学のバイブルを原著でチャレンジした人に

Biochemistry

■出版社
Wiley

■発行年
2010年

■サイズ
28.1×22.3×5.7 cm(ハードカバー:1520頁)

■レベル
★★★★☆(学部3年~大学院)

■ひとこと
上で紹介したヴォート生化学の原著がこちら。内容は化学寄りで、生体物質の代謝に関する記述が幅広くて詳細なのが定評だ。分量が多いので、通読するのはかなり大変である。生化学専門ならぜひ原著も傍に置いておくと役に立つはず。ちなみに実物は電話帳よりも分厚いので、持ち運びしにくいのが難点か。なお、最後の33章(ウイルス)、34章(真核生物の遺伝子発現)、35章(分子生理学)の3つのチャプターは、以下の公式サイトで無償公開される形になっている。上で紹介した邦訳版は全て収録されているが、原著は印刷物には収録されていないので留意しておこう。
※ヴォート生化学公式サイト:http://wiley.com/college/voet



評価の高いその他の名著
ヴォート 基礎生化学
ヴォート生化学のエッセンスをまとめた簡易版。レベル的にはコーン・スタンプとほぼ同程度だが、学部学生が通読するには、むしろこのくらいの量がちょうどよいかもしれない。

ほかには…
エリオット生化学・分子生物学
ストライヤー生化学
ホートン 生化学
マッキー生化学―分子から解き明かす生命
レーニンジャーの新生化学 上
レーニンジャーの新生化学 下
生化学の教科書も数多く存在する。ここで取り上げたのは、どちらかと言えば化学、生物学寄りの本だ。なかには医学系に特化したものもあるが、ここでは省いた。どれも分厚く、読み応えのあるものばかりなので、気軽に買い替えするのは現実的ではない。研究に向けての基礎知識をつけるためなのか、また院試や医学部編入の学力固めのためなのか。目的を明確にして、必ず自分で目を通してから購入しよう。

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